子宮頸がんワクチン(9価HPVワクチン)について

北九州市医師会ではワクチン接種に関する理事をしています。

2023年4月より始まった子宮頸がんワクチン定期接種についても研修会などを担当しており、

得られた情報をまとめてみました。


ドイルのウイルス学者であるHarald Zur Hausen(ハラルド・ツア・ハウゼン)先生が、1976年に「ヒトパピローマウイルス(HPV)が子宮頸

がん原因になるのではないか」という仮説を発表。しかし当時は全く受け入れられず、それでも諦めずに研究を続け、1983年についに

HPV16が子宮頸がんの原因になることを突き止めました。その功績により2008年にノーベル医学・生理学賞を受賞されています。

その後にも様々な障壁がありましたが、ワクチンが開発され実用化。現在、WHOは子宮頸がん撲滅を世界の目標に掲げています。


2023年4月からはヒトパイローマウイルス(HPV)ワクチンは9価(シルガード9)が使用されています。

9価ワクチンでは9種類のHPV感染を予防し、その中でも子宮頸がんの原因の80~90%となる7種類のHPV感染を予防します

以前使用されていた2価・4価ワクチンより多くの型のHPV感染を防げることになります。

定期接種の対象年齢

HPVワクチン定期接種の対象者は小学校6年から高校1年までです。

令和5年度は平成20年度~平成24年度生まれ(誕生日が2008年4月2日から2013年4月1日)の女性が対象となります。


キャッチアップ接種について

平成9年度~平成18年度生まれ(誕生日が1997年4月2日~2007年4月1日)の女性で、定期接種ができなかった方が

対象となります。この時期はHPVワクチン接種の推奨を差し控えていたため、接種していない対象者が多いためです。

接種回数

歳以上15歳未満の女性は2回接種または3回接種を選択できます。

2回接種は初回と6~12か月後に2回目を接種、3回接種は初回と2か月後、6か月後と3回接種します。

15歳以上は3回接種です。初回と2か月後、6か月後に接種します。

副反応について

9価ワクチンの一番多い副反応は、接種部位の疼痛で50%以上に報告されています。

次に接種部位の腫脹や紅斑、あるいは頭痛が10~50%にみられています。

1~10%に発熱や倦怠感、吐き気、めまいなど報告されています。

その他にも頻度は少ないですが、アナフィラキシー、ギランバレー症候群、急性散在性脳脊髄炎、複合性局所疼痛症候群など

重度の症状の報告もあっています。

これら副反応が生じたときは、まずは接種を行った医療機関に相談してもらいます。

しかし病状が回復しないときや対応が難しいときは、地域協力医療機関(北九州市では産業医科大学病院)、

更に対応困難な場合は拠点病院(九州・沖縄ブロックでは九州大学病院)が対応するようになっています。


当院でも予約制ですが接種ができます。

まずは電話で問い合わせをしてください。